羽毛ふとんの品質を判断する基準として「ゴールドラベル」や「CILギャランティーラベル」などがあります。
輸入したダウンを検査し、ダウンとフェザーの混合率、ダウンパワー(嵩だか)や洗浄度のなどの品質基準の値をランクごとに設け、その基準をクリアしたダウンにラベルを発行しています。
しっかりとした機関で検査を行っていて、信頼度は高いので、判断材料の1つにするには良いのですが、そのラベルだけを見て羽毛ふとんの良し悪しを判断するのはお勧めできません。
ラベルがついていない羽毛ふとんにも高品質の羽毛ふとんはたくさんあります。
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その代表が東京西川(西川産業)の羽毛ふとんです。東京西川の羽毛ふとんにはゴールドラベルは一切ついておりません。
では、検査をしっかりしてないのかというと全くそうではございません。むしろ、先述のラベルよりも厳しい検査基準を設けております。
羽毛布団の品質検査・チェック項目
見えない部分なので難しいですが、予備知識として覚えておいていただくと良いかも知れません。
側生地の軽さやしなやかさによってダウンの膨らみ方は大きく違ってきます
市販の羽毛ふとんの多くは「ゴールドラベル」の付いているものが多く、半ざむでもラベルの付いている羽毛ふとんを取り扱っております。
ゴールドラベルやCILギャランティーラベルなどは主にダウンパワー(嵩だか)の数値がメインの基準となっております。
もちろんダウンパワー(嵩だか)の数値が高いダウンを使用している羽毛ふとんは暖かく良質な羽毛ふとんといえるでしょう。
ダウンパワーは、専用の測定装置の中にダウンを入れ、ふとんの中にある状態と同程度の圧力をかけて計測します。
ふとんの中にある状態と同程度の圧力をかけて測定はしていますが、市販されている羽毛ふとんには様々な側生地を使用しております。
この側生地の軽さやしなやかさによってダウンの膨らみ方は大きく違ってきます。
「どうせカバー掛けるから中の生地は安いので良いの!」と思われる方も多いかと思います。
ですが、実を言うと側生地選びがとっても重要で、掛け心地はもちろん、温かさや耐久度にも大きく関わってくるのです。
「掛け心地」でいうと、軽くてやわらかい生地の羽毛ふとんの方が掛けた時にふわぁっと気持ち良いのは皆さまご存じだとは思います。
「暖かさ」はというと、そもそも、羽毛ふとんはなぜ暖かいかというと、中のダウン自体が発熱している訳ではなく、ダウンが人間の体温を蓄えて、また戻してくれるので暖かいのです。
単純に、体とダウンの間の生地が薄ければ薄いほど熱の行き来がスムーズになり、ダウンの性能をより発揮させ暖かいという事になります。
ダウンは膨らむことでより暖かい空気をふくむので、膨らむ力、つまり「ダウンパワー」が大きいほど暖かいダウンとなります。
しかし、ダウンパワーなどは先述の通りですので、そのダウンの膨らむ力も羽毛ふとんの側生地が重い生地だと本来のパワーを発揮することが出来ず、暖かい空気を含む量が少なくなり暖かさが物足りなく感じる原因になります。
側生地の耐久度もチェック
「じゃあ軽い生地が良いならポリエステルのような化学繊維を使った生地にすれば良いのでは?」なんて声が聞こえてきそうですが、一概にそう言い切れないのが「耐久度」です。
ここで言う「耐久度」は、「生地がどのくらい長持ちするのか?」です。
ポリエステルを多く使った生地の羽毛ふとんは綿100%の生地を使った羽毛ふとんに比べると細かいダウンが中から吹き出してくるのが早い傾向にあります。
使い方にもよりますので全部が全部とは言いませんが、ほとんどの場合で同じような状況です。
化学繊維を多く使った生地の羽毛ふとんは安価なものが多く、早い方では2~3年しか使用してないのにかなりのダウンが吹き出す事もございます。
ただ、同じ綿100%の生地でも、使う糸の細さによって生地の硬さが変わります。
硬い生地の方が丈夫なように思われますが、硬い生地は柔軟性が少なく、衝撃に弱いため裂けやすいです。
ダウンパワーが高く、ラベルが高ランクでも側生地の品質が低いとせっかくのダウンの良さを台無しにしてしまうので、使用している側生地も、品質表示に記載されているスペックに加え、実際に触り比べる!出来れば掛け比べる!!ことをお勧めします。
どんなダウンも最初は暖かいので、掛け心地は側生地の違いで差が出ます。
「水鳥の種類」「ダウンの比率」「ダウンの産地」をチェック
ダウンのランクで、ダウンパワー以外に見るポイントは「水鳥の種類」「ダウンの比率」「ダウンの産地」です。
水鳥の種類としては、大きく分けるとダックダウン(アヒル)とグースダウン(ガチョウ)があり、グースダウンの中にはよりダウンの大きなマザーグースダウン(母鳥のガチョウ)、特殊なところではアイスランドの保護鳥アイダーダック(ケワタガモ)などがあります。
大まかな違いとしては
- ダックダウン・・・鳥自体の体が小さいのでダウンも小さめで、耐久性と保温性は少し落ちる。比較的安価なものが多い。雑食のため独特のニオイが残る事も多い。
- グースダウン・・・ダックに比べると体が大きく、ダウンも大きい。耐久性と保温力は高い。質の良い羽毛ふとんに使用されることが多い。洗浄の度合いにもよるが、それほどニオイは気にならない。
といったところです。
「今使っているお布団、ダックだからダメなんだ。」と思ってわれるかもしれませんが、実は、世の中に出回っている羽毛ふとんの約7〜8割がダックダウンを使用した羽毛ふとんなので、ごくごく一般的なお布団なのでご安心下さい。
ダックダウウン・グースダウン・マザーグースダウンの大きさの違いが分かりやすい画像を用意したのでご覧ください。
質の良いダウン程、形がキレイで大きくなるので、暖かい空気を含みやすく、へたりにくいダウンという訳です。
ダウンの比率は何を意味する?
次に、「ダウンの比率」ですが、羽毛ふとんの品質表示タグを見ると、ダウン〇〇%・フェザー〇〇%と表記されているかと思います。
「ダウン」はタンポポの綿毛のような形をした羽毛で、「フェザー」はというと、硬い芯が付いている鳥の羽と聞いて大体の方が想像する羽です。
もちろん暖かいのは「ダウン」です。フェザーは暖かくはありません。
ダウン50%未満のものを「羽根ふとん」と言い、ダウン50%以上のものを「羽毛ふとん」と言います。
基本的には羽毛ふとんにフェザーは使いません。
品質表示タグの「フェザー」は厳密にいうと「スモールフェザー」という、性質の異なる羽なのです!
2つのフェザーの違いを簡単に説明しますと「フェザー」はカサ増しでわざと入れるもの「スモールフェザー」はどうしても入ってしまうものです。
ただし、スモールフェザーにも暖かさはないので注意してください。
つまり、この「ダウン」の比率が高いほど「フェザー」の比率は低くなるので、保温力が増し、「ダウン」と「フェザー」がからまり、ボリュームが出なくなったり、側生地から「フェザー」の芯が出てくるリスクが減るので長持ちします。
ダウンの産地によっても違いがあります
最後に「ダウンの産地」ですが、これもすごく分かりやすく説明すると、寒い地域のダウンの方が形もきれいで大きいので、保温性と耐久性に優れます。
有名なのが、ダックダウンではフランス、グースダウンではハンガリーかポーランドです。
フランス産のダック「フレンチダック」は、アパレルなどにも使用され、ダックの中ではブランド化されています。
グースの中でもポーランド産グースのコウダ種というグースは、国営で管理された品種なので、ダウンの品質にバラツキがなく、高水準のダウンとして、こちらもブランド化されております。
高品質の羽毛ふとんは側生地の「キルト」にもこだわり
高品質の羽毛ふとんになると、側生地の「キルト」にもこだわります。
キルトとは、羽毛ふとん側生地のマスを区切る縫い方の事です。
この縫い方の違いによって温かさの感じ方やフィット感、耐久度が変わってきます。
細かいようですが、実は掛け心地を左右する重要な要素です。
羽毛ふとんのキルトの役割としては
- キルトで区切って隔たりを作りふとんの中でダウンが1ヶ所に偏らないようにする。
- ふとんの中に空気の層を作り、ボリューム感を維持(調整)する。
- 体に添うようにフィット性をアップさせる。
などがございます。
このキルトがしっかりしていないと良いダウンと良い側生地を使用した羽毛ふとんも台無しになってしまいます。
羽毛ふとんは、先に側生地を仕立て、そこにダウンを充填していきます。
充填のやり方としては、先ほどご説明したマチのキルトが縦と横で交差するところに穴が開いており、その穴にノズルを通して1マスづつ充填していきます。
そのノズルの通り道の穴はふさぐことが出来ないので開いたままです。
買ったばかりの羽毛ふとんはダウンにもパワーがあり、膨らんでいてハリがあるので穴を移動していくことはほとんどありませんが、使用していくにつれてダウンにダメージが蓄積されヘタっていくと側生地の中で隙間が出来てきますので穴を通って別のマスに移動し、偏っていく原因になります。
メーカー毎に仕様は違ってきますが、その偏りを防止するための工夫が施されたキルトもございます。「完全立体キルト」など表記しているものはダウンの偏り防止キルトになっている事が多いので、ダウンの偏り防止のキルトになっているかどうかも重要なポイントです。
その他にも、キルトの種類はすごくたくさんあり、色々なメーカー毎に様々なキルトを用いて独自の羽毛ふとんを製造しております。
全て説明しきれないので、代表的なものを抜粋してご説明します。
【立体キルト】
市販の羽毛ふとんではもっとも一般的なキルトで、様々なキルトのベースとなっております。
ふとんの表生地と裏生地の間に、マチテープで仕切りを作る構造です。
生地の間にマチが入ることにより、ダウンのふくらみがジャマされず、温かい空気の層を維持することが出来ます。
立体キルトはSL(シングルロング)サイズの場合、通常の区切りのマス目は横4マス×縦5マス=20マスです。
少し特殊なものだと横5マス×縦6マス=30マスという羽毛ふとんもございます。
マスが小さくなると、フィット性が増し、マスの中でのダウンの移動が少なくなるのでダウンの傷みも少なく長持ちします。
ちなみに半ざむでは、横6マス×縦8マス=48マスのキルトの「ライトダウン48」という羽毛ふとんを取り扱っております。
更にフィット性が増すので、中のダウンの重量が少なくても温かいです。
薄くて軽いのに温かい!新感覚の羽毛ふとんです。
他店では中々取り扱いのない羽毛ふとんですので興味がありましたら、ぜひ体験しにご来店ください。
【ベッドキルト】
こちらは名前の通り、ベッドをお使いの方に最適なキルトです。
多くの場合、体が当たる中央部分にダウンをたっぷり入れているので温かさをより感じます。それに加え、肩口のマスを横に細長くすることにより、肩口の隙間が少なくなりフィット性が増します。
一般的なベッドサイズに合わせているので、両サイドのマスを縦に細長くすることにより、ベッドの両サイドに調度良く垂れてずれにくくなっています。
【2層キルト(ツインキルト)】
こちらも名前の通り、羽毛ふとんの内部が2層式になっているキルトです。
上部と下部の立体キルトを、さらに2層構造にして、ボリュームをアップさせています。
上層と下層の縫い目部分をずらした構造なので、体温が逃げにくく保温は性抜群です。
しかし、羽毛ふとんの内部に、上層と下層を分ける布が1枚入っているので少し重さが出るのと、分けるために使用している生地の種類によって(ポリエステルなど)はムレ感が出てしまう場合があるので品質表示タグに記載されていればチェックしてみてください。
タグに記載がない場合はお店の販売員さんに確認してみるのも良いかもしれません。
【オールシーズンキルト(デュエットタイプ)】
こちらはキルトというよりは羽毛ふとんの種類になりますが、冬用よりも少し薄めで春や秋に掛ける「合い掛けふとん」と夏の時期に使う薄手の「肌掛けふとん(ダウンケット)」の2枚がセットになって、4隅に付いているボタンで2枚を着脱できるタイプの羽毛ふとんです。
合い掛けふとんと肌掛けふとんの組み合わせにより、オールシーズン通して使用できます。
2枚を重ねて冬用として使用した場合、空気を含む層が増えるので保温性がアップします。2枚に分かれているので収納にも便利です。
ただ、2枚重ねて使用する場合、側生地も羽毛ふとん2枚分を掛ける事になるので、冬用の羽毛ふとんを1枚で掛けるよりは少し重くなるので、そこだけ注意してください。
【直縫いキルト】
メーカーによって名称が様々で、「ヨーロッパキルト」「市松キルト」「たたきキルト」「薄型キルト」などと呼ばれています。
表生地と裏生地を直接縫い合わせているキルトのことで、羽毛の肌掛けふとん(ダウンケット)に用いられることの多いキルトです。表生地と裏生地の間にマチがないので、少量の羽毛でも膨らみます。
直接縫い合わせているので、ダウンの移動が少ないのも特徴です。
夏場は1枚で、冬場は毛布代わりに使用していただけます。
このように、羽毛ふとんのキルトはふとんの中のダウンを隔てるだけではなく、それぞれに特徴があります。
羽毛ふとん選びで迷われたり、困ったときは、キルトの種類に目を通し、ダウンの偏り防止のキルトになっているかどうか、お部屋の状況(寒い・温かい)や体質(寒がり・暑がり)、使いたい時期(春秋用・夏用・冬用・オールシーズン)などによって、ご自分に合った仕立てになっているかどうかも比較して選ぶ参考にしてみてください。
ラベルによる違いだけではなく、側生地やキルトの違いで「羽毛ふとんの品質」は大きく変わります。
なので、羽毛ふとんはテレビ通販やネット通販でラベルやスペックだけで選ぶのではなく、実店舗に行き、実際に触ったり、寝比べて、側生地の風合いや掛け心地を体験・体感していただき、専門のスタッフに品質表示などに載っていない詳しい情報を説明してもらいながら納得して選んでいただくのが理想的です。
半ざむでは色んなタイプの羽毛ふとんをご用意しており、寝比べ・掛け比べはもちろん、専門知識のあるスタッフが詳しく説明させていただきます。
羽毛ふとんのご購入をお考えの際にはぜひ1度ご相談ください。

